一筆法話55

『怪力乱神』(かいりきらんしん)


 いつの世でも人々が好むものに「オカルト」とか「心霊」「神通力」「超常現象」
という日常生活とはかけ離れた非現実的なものがある。普通の人間では出来ない現象
を演じる事である。昔、スプーンを曲げるのが流行ったが、そういうことを人は好
むようにできている。決して自分自身では実演できないけれども、代りに体験してあ
げる人がいれば好んでそちらの方に目を向ける。誰もが興味を持つ事であるが深入
りするとあやまちを起こしやすい。非現実に興味を持ち出すと次第に現実から離れる。
残虐テレビや残酷本を見すぎた為に、心の中がマヒして殺人を犯すような事にさえなる。

 二千数百年も昔の教えである「論語」の中で、孔子はふだん、能力や超現象につい
て語らなかったと書かれてる。

『子不語怪力亂神』「子(し)、怪力乱神(かいりきらんしん)を語らず」

(孔子はあやしげな作用(怪力)と、とりとめのない神わざ(乱神)とはけっして口

にされなかった)
お釈迦さまも死後の世界について問われたときに、霊魂のことや死後の世界については
ただ黙って答えられなかったという。

 托鉢していた時、質問を受けた。
「禅宗の修行は厳しいとお聞きしていますが、大変な修行をなさるんでしょうね。毎
日水を被(かぶ)ったり、断食(だんじき)をしたりするんですか。」

「いえいえ、水を被るは夏の暑い時だけです。食べるものは粗末なものですが、断
食はしません。」

「えっ、では一体どういう修行をするのですか。」

「そうですねえ、朝起きたらまず顔を洗って、手洗いへ行って用を済ませ、本堂でお
経を読み、坐禅組み、粥座と言って朝食を済ませ、内外の掃除をします。日によっ
て違いますがこうやって托鉢に出る日もあれば、作務と言って境内の木の剪定をした
り、薪を作ったりしています。炊事や洗濯、お針仕事もしますよ。」

「ふーん、有り難い修行はしないんですね。」

その人は最初布施にと思って握りしめていた千円札をそっと百円硬貨に代えて喜捨し
てくれた。

 世の中は、普通の人間がやらない事をやる人が偉い人で、尊い人である。私はチベ
ット仏教の法王であるダライ・ラマのインタビューを思い出した。

「超能力についてどうですか、、」
「仏教にとって偉大な力や、奇跡や超能力は関係のないものです。もしそれが、純粋
な信仰のおかげによって得たものならそれはそれでいいと思うが、私はそういうこと
を非常に懐疑的に見ます。」

「あなたは生き仏だと言われていますが、、」

「とんでもない!私はただの僧侶です。ただの人間です。神でもなければ仏でもない。
仏教の教典には人間でなければ仏教の僧侶にはなれない、とあります。ただの人間で
あり、ただの仏教の僧侶です。仏教の僧侶になりたかったらまず人間になることです。」


一筆法話

コピーしてお読み下さい。
01  君看よ
02  好事
03  独座
04  皆真なり
05  共に行く
06  好日
07  不食
08  蒼龍の窟
09  家珍
10  風涼し
11  弁じ難し
12  滋味無し
13  月在手
14  無南北
15  短法身
16  這漢
17  同事
18  桃核
19  足別離
20  癡僧
21  元不識
22  不遠
23  不諾
24  也風流
25  無所住
26  阿家牽
27  忘却
28  是非人1
29  是非人2
30  竹一竿
31 斑斑色
32 可憐
33 眞人
34 無慚色
35 不相知
36 三子寒
37 似秋月
38 思鱸客
39 明月夜
40 進一歩
41 千年翠
42 喫茶去
43 殺仏
44 如在
45 声吁吁
46 山高
47 不貪
48 養形
49 夜来雁
50 世上人
51 上樓
52 無暖気
53 嫌揀擇
54 罵李
55 怪力乱神
56 童子不知
57 到遼西
58 火自涼
59 不覚臭
60 無咎
61 為父隠
62 な し
63 な し
64 な し
65 な し


説教はイヤだ!体験がいい!坐禅を組む。

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道樹寺 江口 潭渕(たんえん) dojuzi@ktroad.ne.jp