『無滋味』(じみなし)


お釈迦様は人間の悩み苦しみから解放されたいとの願いか
ら六年の間、人間の限界を越えるような想像を絶する苦行
を続けるれた。
しかし、わが身を痛めつけ、苦しめるだけの苦痛の連続は
お釈迦様に救い(解脱)をもたらしてはくれなかった。
お釈迦様は、ガンヂスの支流であるニレンゼン河の中に入
られ、ぼろぼろになった体を清められた。骨と皮だけのお
釈迦様は、牛飼いの娘、スジャーターによって牛乳粥の供
養を受けられ、かろうじて命の炎をつながれた。それから
河のほとりにある菩提樹の下にて坐を組み、坐禅三昧の瞑
想(めいそう)を始められた。 『血は枯れよ、肉はただれよ、骨は腐れよ、悟りを得ない
ならば、われはこの座を立たな いであろう』
と決意を新たにして坐り続けられた。そしてついにキラキ
ラとかがやく暁の明星(金星)を見られた時に、宇宙の真理
を余すことなく欠けることなく体得され、悩み苦しみから
の解放を実現された。その時の喜びや、深い感動を説き示
されたのが仏教の始まりである。
禅宗の道場ではお釈迦様の故事にちなみ、十ニ月一日の午
前三時から八日の明け方までの一週間を一日とみなし、ぶ
っ通しでひたすら坐禅を組む。その間、横になって寝るこ
とは許されない。歯は浮いて、がくがくになり、目を開け
たまま居眠りをするほどである。
昔の修行僧は遺書を書いてこの修行に臨んだそうである。
「臘八の大接心(ろうはつおおぜっしん)」といわれてい
て、古来その烈しさから「命取りの大接心」とも呼ばれて
いる。
臘八(ろうはつ)とは臘月(十二月)の八日間という事。
大接心とは文字通り心に接するという事で、自分の心の中
に深く切り込んでいくことである。現代人に欠けているの
はここのところではなかろうか。
『嫌うこと莫(なか)れ冷淡にして滋味無きことを、一飽
(いっぽう)よく万劫(まんごう)の飢えを消す』
という語の意味は、面白くもないと言つて嫌いなさるな。
心の問題はひとたび解決できたならば、永遠に迷い悩む事
はないぞという事。まあいいやと云つては自分をごまかし、
タバコをやめると自分に誓つたのに平気で自分を裏切り、
あいつが悪いこいつが悪いと、正しいのはいつも自分だけ
であったりと、真実の自分を鋭く見つめる事をしない。そ
れではいつまでも本当の自分とめぐり合えない。何処かで
誰かが、
「臭い匂いは元から絶たなきやだめ!」
と云つていたのを聞いた事がある。実にその通りである。
うわべだけ縫(つくろ)って香水を振りまいても直に悪臭
は漂つてくる。

一筆法話

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01  君看よ
02  好事
03  独座
04  皆真なり
05  共に行く
06  好日
07  不食
08  蒼龍の窟
09  家珍
10  風涼し
11  弁じ難し
12  滋味無し
13  月在手
14  無南北
15  短法身
16  這漢
17  同事
18  桃核
19  足別離
20  癡僧
21  元不識
22  不遠
23  不諾
24  也風流
25  無所住
26  阿家牽
27  忘却
28  是非人1
29  是非人2
30  竹一竿
31 斑斑色
32 可憐
33 眞人
34 無慚色
35 不相知
36 三子寒
37 似秋月
38 思鱸客
39 明月夜
40 進一歩
41 千年翠
42 喫茶去
43 殺仏
44 如在
45 声吁吁
46 山高
47 不貪
48 養形
49 夜来雁
50 世上人
51 上樓
52 無暖気
53 嫌揀擇
54 罵李
55 怪力乱神
56 童子不知
57 到遼西
58 火自涼
59 不覚臭
60 無咎
61 為父隠
62 な し
63 な し
64 な し
65 な し


説教はイヤだ!体験がいい!坐禅を組む。

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道樹寺 江口 潭渕(たんえん) dojuzi@ktroad.ne.jp